フラップ閉状態での性能を変えることなくフラップの性能を変える方法
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YSFSのdatというのは、設定がしやすいかわりに、個々の値がどう影響するのかということについて解釈が難しいことが多いのだが、フラップもそのひとつだ。
ご存知のとおり、フラップに関するdatの設定は次の2つである。

CLBYFLAP : フラップ展開時の揚力増加率
CDBYFLAP : フラップ展開時の抗力増加率

フラップの性能だけを変えたいのなら上の2つを弄ればいいではないか、と思うかもしれないが、実はそうはいかない。上とは別に次の設定がある。

REFVLAND : フラップ開、ギア下げ、VGW展開状態での着陸速度
REFTHRLD : 上の状態におけるスロットル開度

フラップ開の状態、となっているのがポイントだ。これらはそれぞれ、機首上げ時の揚力と抗力の係数を決定する値である。

このことから想像できるように、これら「REFVLAND及びREFTHRLDの値が同じまま」、フラップの設定値だけを変えると、以下の現象が起こる。

・CLBYFLAPを増やすと、フラップ閉状態での揚力が減少する。
・CDBYFLAPを増やすと、フラップ閉状態での抵抗が減少する。
・フラップ開状態での性能は変化しない。

個人的な話になるが、鯖を立てるときに、他の製作者の機体のフラップを弄りたいことがあった。
しかし、フラップ閉状態での性能にまで影響が出てしまっては、製作者の意図が壊れてしまう。それは避けたい。
揚力の大きさはもろに旋回力に影響するし、抵抗も維持旋回能力(速度を落とさずに旋回できる能力)に影響するからだ。

そこで私は、フラップ閉状態での性能(揚力及び抗力の係数)が、CLBYFLAP及びCDBYFLAPを変更した前後で同じになるようにするため、
REFVLAND及びREFTHRLDも同時に、以下のように変更した。

CL1 = CLBYFLAP(変更前)
CL2 = CLBYFLAP(変更後)
CD1 = CDBYFLAP(変更前)
CD2 = CDBYFLAP(変更後)
V1 = REFVLAND(変更前)
V2 = REFVLAND(変更後)
TH1 = REFTHRLD(変更前)
TH2 = REFTHRLD(変更後)
A = PROPVMIN(変更前後で同じ)
としたとき、



揚力も抗力もともに速度の2乗に比例することを知っていれば、上の式は理解しやすいだろうと思う。
プロペラ機のf(V,A)の詳細については、こちらを読んでもらいたい。

下の表は、上の式によってdatを変更し、性能の変化を測定したものである。
フラップ閉状態で、同じ速度でオートパイロットによって水平飛行させ、迎角とスロットル開度を測定した。



迎角はその飛行機が生み出せる揚力にどれだけの余裕があるかを示し、スロットル開度は抵抗の大きさを示す。
つまり、ほぼ誤差の範囲ととれるくらいに、フラップ閉状態では同じ性能となったことがわかる。

参考資料:505鯖のフラップ改造をやったときのエクセル
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